MISSION 2 戦術を見極めよ!

「チーム油汚染」に勝利する効果的な戦術は何か

油汚染に勝利するさまざまな戦術(浄化手法)。そのなかで、
安全・確実かつスピーディに浄化できる戦術がある。

「チーム油汚染」が引き起こす土壌・地下水汚染と戦うためには、いくつかの戦術がある。汚染された土壌を掘り返して土を入れ替え、汚水(汚染された地下水)を取り除く戦術(掘削除去法)が一つ。汚染物質を吸引したり(土壌ガス吸引法)、酸化剤などを投入して分解してしまう戦術(化学酸化法)もある。どれも大がかりな工事や装置が必要な戦術だ。

これに対し、現状の環境をそのままにして、油分を強力に分解して浄化する戦術がある。それは、自然界に無数に存在する微生物の力を活用すること、つまり目に見えない微生物を味方につけて勝利する戦術だ。この戦術は多くの下水処理場で汚水浄化に用いられているように、人や周辺環境に影響を及ぼさない安心・安全な戦い方と言える。

必勝戦術、それは「バイオレメディエーション」

地球上に数十万種とも言われる微生物。彼らの力を使って
油汚染に勝利(浄化)する有効な戦術が「バイオレメディエーション」だ。

微生物とは、肉眼で見ることができないほど小さな生物の総称。細菌(バクテリア)、酵母やカビなどの菌類をはじめ大勢の仲間がいる。たとえば人の体内には大腸菌がいるし、空気中や海や川、土の中などあらゆる所に無数とも言えるほど存在している。こうした微生物のなかには、ゴミを分解して他の生物が生きていくために必要な環境を整えるものがいる。目に見えないところで生態系を維持してくれている、実にありがたい存在だ。

そのなかに油を食べる微生物がいる。彼らの力を活用して油汚染を浄化する方法が「バイオレメディエーション(Bioremediation)」と呼ばれる戦術だ。ただし微生物には、ある物質は分解できても、ほかの物質は分解できない性質がある。得意とする物質が微生物ごとに異なるのだ。

バイオレメディエーションを採用する場合には、「汚染物質にマッチングする微生物を選ぶ」という監督の高度な采配が欠かせない。つまり油の汚染に対しては、油を食べる微生物を起用する必要があるわけだ。