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コラム

Vol.2トリータビリティ試験~「オッペンハイマー・フォーミュラ™」を適用した土壌・地下水汚染浄化に向けて~

トリータビリティ試験とは

トリータビリティ試験(バイオ処理適合性試験)とは、その名の通り、微生物浄化の適合性を判定する試験である。弊社では、多種多様な汚染物質に対応するため、複合バイオ製剤「オッペンハイマー・フォーミュラTM」(微生物コンソーシア)を使用し、土壌・地下水汚染浄化対策前に、トリータビリティ試験の実施を推奨している。試験では、実現場で採取した土壌・地下水試料を用い、浄化対象となる土壌・地下水や対象物質の微生物に対する増殖阻害性の有無を確認することができる。これらの確認のため、あらかじめ効果が確認されている複合バイオ製剤を用いることで、短期間かつ低コストでの判定が可能である(試験開始から報告まで2週間~)。

オッペンハイマー・フォーミュラ Ι

Dr. Carl H. Oppenheimer

試験対象試料

試験には、実現場で採取した土壌・地下水を使用する。それらは、多種多様であり、特に、土壌は粘性土や砂質土などの性状が異なることはもちろん、土壌粒子の粒径が異なるなど均一性に欠ける。そこで、試験前に4mm程度の篩いにかけて粒径を揃えることや、含水率を調整、混合撹拌を適宜行うことで、試料の均一性を保つようにしている。

分析・測定項目(油汚染土壌・地下水)

分析項目は、対象物質の指標となるTPH(Total Petroleum Hydrocarbonの略、全石油系炭化水素のことで、一般に土壌や地下水に含まれる燃料油や潤滑油等の石油製品の定量結果のことを指す。)、測定項目は、全微生物数、pH、窒素(アンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素)・リン(リン酸態リン)、油臭・油膜である。

TPHの分析法としては、GC-FID法(水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ)、IR法(赤外分光法)、ノルマンヘキサン抽出法(重量法)がある。弊社は、主にGC-FID法を第三者の分析機関に依頼している。全微生物数は、直接顕微鏡法によるDirect Countである。培地のバイアスがかからず、自然環境中の微生物観察には最も適している。pH、窒素(アンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素)・リン(リン酸態リン)は、パックテスト等の簡易測定キットにより測定する。油臭・油膜は、油汚染対策ガイドラインに準拠(油膜はシャーレ法)して数値化する。

試験事例

ここでは、A重油汚染土壌と、潤滑油汚染地下水のトリータビリティ試験の事例を示す。

A重油汚染土壌トリータビリティ試験

試験方法

  1. 現場で採取した土壌試料を4mmの篩いにかけ、ステンレスバットに1kg分取
  2. 1.より50gを処理前TPH分析※1用試料として第三者分析機関に送付、10gを処理前各測定※2用試料として確保
  3. 1.の残りの土壌に栄養剤、必須元素水溶液、複合バイオ製剤を規定量添加
  4. 毎日1回混合撹拌し、室温で養生
  5. 2週間ごとに50gを処理後TPH分析用試料として第三者分析機関に送付、10gを処理後各測定用試料として確保

※1 TPH分析はGC-FID法
※2 測定項目は、全微生物数(直接顕微鏡法/EB蛍光染色法)、pH、窒素・リン、油臭・油膜等

試験操作:土壌試料篩い状況

試験操作:複合バイオ製剤類添加状況

試験結果

処理前後のTPH分析結果と全微生物数を表1に、TPHと全微生物数の推移を図1に示す。

表1:TPHと全微生物数(土壌)

 初期値14日目42日目
TPH
(mg/kg-dry)
C6~C12<48<48<47
C12~C28520290140
C28~C443,1001,300520
C6~C443,7001,700650
全微生物数(cells/g-wet)6.99E+072.20E+083.77E+08

図1:TPHと全微生物数の推移(土壌)

判定

TPHは、処理前初期値の3,700mg/kgから、処理後42日目には650mg/kgにまで減少した。全微生物数は、6.99E+07cells/g-wetから3.77E+08cells/g-wetにまで増加し、増殖阻害は見られなかった。TPHの減少、微生物に対する増殖阻害性がないことが確認できたため、当該土壌における複合バイオ製剤による浄化は可能であると判断できる。

潤滑油汚染地下水トリータビリティ試験

試験方法

  1. 現場で採取した地下水試料を500ml容三角フラスコ4本に100mlずつ分取
  2. 1.のうち1本を処理前TPH分析※3用試料として第三者分析機関に送付、1本を処理前各測定用試料として確保
  3. 1.の残り2本に栄養剤、必須元素水溶液、複合バイオ製剤を規定量添加
  4. 3.を振とう機にて振とう培養
  5. 1週間後、3.のうち1本を処理後TPH分析用試料として第三者分析機関に送付、1本を処理後各測定用試料として確保

※3 水試料のTPH分析(GC-FID法)は、フラスコ内の油分を全量抽出

試験操作:振とう培養状況

試験結果

処理前後のTPH分析結果と全微生物数を表2に、TPHと全微生物数の推移を図2に示す。

表2:TPHと全微生物数(地下水)

 初期値7日目
TPH
(mg/L)
C6~C12<4.1<4.1
C12~C2812324
C28~C44841100
C6~C44964124
全微生物数(cells/ml)6.81E+061.17E+08

   図2:TPHと全微生物数の推移(地下水)

 

判定

TPHは、処理前初期値の964mg/Lから、処理後7日目には124mg/Lにまで減少した。全微生物数は、前初期値の6.81E+06cells/mlから1.17E+08cells/mlにまで増加し、増殖阻害は見られなかった。TPHの減少、微生物に対する増殖阻害性がないことが確認できたため、当該地下水における複合バイオ製剤による浄化は可能であると判断できる。

評価方法

TPHは、その総量と各画分の減少を、全微生物数は、その増減を評価する。pHについては、中性域にあることを確認、窒素(アンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素)・リン(リン酸態リン)については、TPHに対する必要十分量の有無を把握する。油臭・油膜については、数値化した結果により、対象物質の有無を定性的に評価する。

以上より、対象物質の減少、全微生物数の増加等が確認できれば、当該試料における複合バイオ製剤による浄化は可能であると判定することができる。

最後に

トリータビリティ試験を事前に行うことで、浄化対象となる土壌・地下水や対象物質の微生物に対する増殖阻害性の有無を確認することができる。事前に効果を確認しておくことは、確実性の高い浄化対策を実施することができるという意味において非常に大切である。また、参考程度ではあるが、トリータビリティ試験の結果を指標として、浄化対策を実施したときの進捗状況を把握することもできる。

弊社では標準的なトリータビリティ試験に加えて、お客様のご要望に応じたオーダーメイド的なトリータビリティ試験も行っている。弊社のこれまでの経験から、試験期間、分析の項目や頻度といった様々な条件設定が可能である。

これから拡大するであろう土壌・地下水汚染の市場を見据えて、弊社ではバイオオーグメンテーションによる浄化を広く進めていきたい。そのためにも、まずはトリータビリティ試験の普及を目指していく。弊社のトリータビリティ試験は検証期間が短く、試験費用も安価であるので、是非皆様にお勧めしたい。